アトピー性皮膚炎とは?
平成12~14年度厚生労働科学研究の一環として行われた、全国規模の健診によるアトピー性皮膚炎疫学調査の結果、有病率は全国平均で4ヵ月児12.8%、1歳6ヵ月児9.8%、3歳児13.2%、小学校1年生11.8%、小学校6年生10.6%、大学生8.2%でした。重症度別(軽症・中等症・重症・最重症)解析では、中等症以上の割合を年齢別でみると、1歳6ヵ月児16%、3歳児15%、小学校1年生24%、小学校6年生28%、大学生27%であり、幼児期よりも学童期において概して症状が悪化する傾向が認められました。
症状として、皮膚が赤くなったり、発疹ができたり、ジュクジュク(滲出液)したり、ガサガサ(乾燥)したりして、痒くなり掻いてしまう皮膚の病気です。この状態は、治ったり、また悪くなったりを繰り返します。2歳までに約90%が発症します。アトピー性皮膚炎患者の2/3に家族歴があり、50~80%は気管支喘息やアレルギー性鼻炎など、他のアレルギー症状があります。
アトピー性皮膚炎の発症機序は、いまだに不明な点が多いですが、80~90%の患者は、血清IgEが高値で種々のアレルゲンに対する特異IgE抗体が陽性であることから、抗原特異IgE抗体が発症に関与していると考えられています。
原因は、ハウスダスト(ほこり)、ダニ、花粉、動物の毛(犬・猫・ウサギ・ハムスターなど)、カビ(風呂場・古い家など)などがあります。また、思春期になると、精神的な要因(勉強・進学など)や内分泌的要因(性ホルモン)で悪化する事があります。
乳児期アトピー性皮膚炎
生後1ヵ月以降から生後6ヵ月頃に発症します。頭部から顔面が好発部位で、紅斑と鱗屑に丘疹が混じり湿潤傾向がありますが、一部は痂皮を形成します。特に頭部では厚い痂皮を形成します。痒みが強いために皮疹部位を擦り付けたり、不機嫌に泣くこともあります。乳児脂漏性湿疹との鑑別が必要です。
幼児期アトピー性皮膚炎
頸部、肘窩、腋窩が好発部位で、乾燥した苔癬が主体です。痒みのために掻破すると出血して血痂を形成したり滲出性になります。皮膚全体が乾燥して光沢がなく、白色描記症(異常な血管収縮反応により皮膚を擦ると貧血性白線を生じます)を伴います。毛孔の角化や魚鱗癬、四肢伸側には痒疹様小結節を伴うこともあります。
年長児アトピー性皮膚炎
乾燥した苔癬は、幼児期よりさらに広範囲で痒みも強くなります。乳頭の湿疹、口唇炎、眉毛の外側の疎毛化や毛髪際の下降による前頭部の狭小化がみられることがあります。