小児科・思春期内科・小児アレルギー科 // みらいクリニック(新座市)

み ら い ク リ ニ ッ ク

~小児科を中心とした地域医療と思春期医療のクリニックです(一般内科外来もあります)~

基本治療

 治療の根本は、「日常生活・管理」に書いてあるように毎日の「徹底した掃除」によるホコリやダニの除去です。生活環境を整えてから下記の薬物療法を行います。掃除が徹底していない環境で治療を行っても無意味です。ホコリだらけの家庭や病室は気管支喘息の治療には不適当です。

病態と薬物療法(家庭での薬物治療)

①季節性:1年間で決まった時期にだけ発作を起こすような場合は、その時期だけ予防的に抗アレルギー剤と気管支拡張剤(または長時間作用性β刺激剤)を投与します。また、去痰剤やロイコトルエン受容体拮抗薬を併用する場合もあります。最近では第一選択薬(予防薬)として吸入ステロイド剤の定期的な吸入を指示する場合もあります。
②運動誘発性:運動によって咳き発作を起こす場合は、運動前にβ刺激剤の投与を行ないます。最近では、ロイコトリエン受容体拮抗薬を予防的に内服します。
③夜間に続く咳き発作:長期間、夜間だけ強度の咳き発作を認める場合は、就寝前に気管支拡張剤を投与します。去痰剤やロイコトルエン受容体拮抗薬を併用する時もあります。最近では第一選択薬(予防薬)として吸入ステロイド剤の定期的な吸入を指示する場合もあります。
④軽症:基本治療として抗アレルギー剤とロイコトルエン受容体拮抗薬を投与します。また、吸入ステロイド剤、気管支拡張剤、去痰剤等を併用する場合もあります。明かなアレルギー素因が認められる場合や他のアレルギー疾患(結膜炎・鼻炎・アトピー性皮膚炎)の合併がある場合は、抗アレルギー剤の長期内服を行ないます。
⑤中等症:基本的治療として吸入ステロイド剤を投与します。また、ロイコトルエン受容体拮抗薬、気管支拡張剤、長時間作用性β刺激剤、去痰剤等を併用する場合もあります。明かなアレルギー素因が認められる場合や他のアレルギー疾患(結膜炎・鼻炎・アトピー性皮膚炎)の合併がある場合は、抗アレルギー剤の長期内服を行ないます。
⑥重症:基本的治療として吸入ステロイド剤とロイコトルエン受容体拮抗薬を投与します。また、気管支拡張剤、長時間作用性β刺激剤、去痰剤等を併用する場合もあります。また、自宅にてβ刺激剤(メプチン吸入液)と抗アレルギー剤(インタール吸入液)の吸入を定期的に行ないます。発作時には去痰剤等の内服やβ刺激剤(メプチン吸入液)と抗アレルギー剤(インタール吸入液)の吸入を行ないます。

各薬剤について

①抗アレルギー剤とは?
作用としては、化学伝達物質の遊離抑制作用や拮抗作用があり、アレルギー疾患の予防に用いられます。一般に効果の発現には2~4週間の内服が必要です。副作用としては、眠気等が認められる場合があります。
薬品名:インタール、ザジテン、リザベン、アレギザール、ロメット、アゼプチン、セルテクトなど
②テオフィリン製剤とは?
作用は多彩であり、主に気管支拡張作用、化学伝達物質の遊離抑制作用、抗炎症作用、呼吸中枢刺激作用等があります。この薬剤は、一般に血中濃度が10~20μg/mlにて気管支喘息発作抑制効果があり、血中濃度が22μg/ml以上で頭痛、嘔気、嘔吐等の副作用が認められます。なお、血中濃度が40μg/ml以上では、心室性期外収縮や痙攣などの重篤な副作用が認められます。
医師から指示された通りに内服する事が必要です。
薬品名:テオロング、テオドール、テオスローなど
③β刺激剤とは?
作用としては、気管支拡張作用、化学物質の遊離阻害作用、気道閉塞因子の排除などです。作用時間は、テオフィリン製剤より短く、副作用としては、不穏、嘔気、嘔吐、手の震え、動悸、血圧上昇などがあります。
薬品名:ホクナリン、メプチン、ブリカニール、ベネトリン、アロテック、スピロペントなど
④ロイコトリエン拮抗薬とは?
作用としては、気道炎症ならびに気道分泌の抑制作用、気道収縮抑制作用などがあり、運動誘発喘息、従来の治療で予防困難な喘息(ステロイド依存性など)、アレルギー性鼻炎による鼻閉などに効果があります。
薬品名:オノン、シングレア、キプレスなど
⑤吸入ステロイド剤とは?
作用としては、最も効果的な抗炎症作用があり、経済的にも他の薬剤に比べて負担が少ない。近年日本において長期管理薬とされ、乳児期から高頻度に使用されるようになってきた。副作用として、嗄声、口腔カンジダ症、気道感染等があり、長期間の使用により「骨塩量の減少」や「白内障の発生」が海外で報告されている。副作用の発生頻度は(1日吸入量×期間)に相関があると報告されている。
薬品名:フルタイド、キュバールなど

テオフィリン製剤を飲み続けると依存性を生じるか?

 依存性を心配して内服したり、しなかったりする事が最も問題です。気道や気管の過敏性や炎症を抑える為に、症状がなくても続けて内服しなければならない時期があります。依存性については、心配する事はありません。医師の指示に従って内服して下さい。原則として、乳幼児には投与を控えています。

吸入ステロイド剤の副作用は?

 吸入に伴う局所的なものと気道系や消化管からの吸収に伴う全身的なものがあります。投与量増加により気道系からの吸収が増加し全身的な副作用の危険性が高まるります。
 局所的な副作用としては、咽頭刺激感や咳嗽、嗄声、口腔カンジダ症などがあります。吸入後のうがいや水分摂取、吸入補助具の使用や剤形の変更、吸入指導などにより多くは予防できます。気道¥の易感染性の増強に関する具体的な報告はありません。気道系の発達や局所機能への影響に関する検討はほとんどありません。マスクを用いて吸入を行う場合、口周囲への薬剤付着により接触性皮膚炎が生じることがあるので、吸入後には洗顔や清拭を行いましょう。
 全身的な影響として、身体発達に対して使用開始後1年間で1~2cm程度の抑制が生じる可能性が高く、その抑制はその後、進行することはなく、最終身長の検討では有意な抑制を認めなくなるとする報告が多いが、前方視的研究において一部の患者では成人期まで抑制が持続する可能性が示唆されています。間脳・下垂体・副腎皮質系に対しては、高用量になると抑制を認める例のあることが報告されていますが、低~中用量では臨床的に問題となることはありません。骨代謝や眼などに対する影響は問題となっていません。

B_Dl.gif吸入ステロイド剤:キュバール添付文書

B_Dl.gif吸入ステロイド剤:キュバール患者指導箋

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