小児喘息はなぜ寛解するのか?
なぜ寛解するか?
喘息の発症については必ずしも明らかでありませんが、気道の過敏性が病態の中心と考えられています。気道の過敏性は、気道感染、気道のアレルギー反応などの刺激によって獲得されます。
気道の過敏性は、少なくとも小児においては、発作の回数との間に相関関係が認められます。発作が繰り返されていれば気道過敏性は亢進し、気道過敏性が亢進していれば、発作は頻回に起こります。しかし、思春期以降にはこの関係がみられません。
小児期または思春期以前には、発作時と非発作時とを比較した場合、気道が可逆性でありますが、思春期以降あるいは寛解に至らない状態では気道は非可逆的である可能性が考えられます。
環境因子として、ダニが少なければ寛解しやすいことなどから、IgEを介する反応は、思春期の寛解と関連すると考えられます。また、小児喘息の寛解は第二次性徴の発現による影響を受けるとも考えられます。
ステロイド吸入薬を使用すると、「気道過敏性と発作の回数」の関係は明らかでなくなりますが、気道過敏性はステロイド吸入薬によって一時的に改善しますが、中止すると元に戻るとの報告もあり、小児喘息の自然治癒率はステロイド吸入薬の普及によっても上昇していません。
まとめとして、小児喘息が寛解する理由の一つとして、気道の変化が可逆的である可能性をあげることができます。逆に、気道が非可逆的になっていれば寛解しにくいと推測されます。