過敏性腸症候群
便通異常および腹痛・腹部膨満感など種々の消化器症状を呈する腸管の機能的疾患です。心理社会的因子は、症状の発現や悪化に影響を与える重要な因子であり、その他にも、刺激性食品・不規則な食習慣などの食事性因子や、疲労・本態性自律神経失調などの身体的因子も関与しています。
腹痛は、食後に便意を伴って生じ、排便によって軽快する傾向があります。腹痛の部位は、下腹部、とくに左下腹部に多くみられます。下痢は男子に、便秘は女子に多くみられます。本症の便秘は痙攣性便秘と呼ばれ、便は硬く乾燥して兎糞状を呈したり、または鉛筆状に細くなり、量は少く、排便後も残遺感があり、間欠的で下痢と交替することがあります。下痢は、1日1~数回の軟便、泥状便、水様便を呈し、食後とくに朝食後に多く、大量の粘液を排出することもあります。頭痛、めまい、動悸、全身倦怠感、四肢冷感などの自律神経失調症状や不安、緊張、不眠、うつ状態などの精神症状を合併することがあります。