消化性潰瘍
小児の消化性潰瘍は近年増加傾向にあります。その原因は、小児を取り巻く環境(とくに学歴中心社会がもたらした競争原理に基づく心理社会的環境)や食生活の変化などが考えられます。
学童期~思春期の消化性潰瘍は、慢性の経過を示しやすい一次性潰瘍が多く、その発症・経過には心理社会的因子や性格的因子が強く影響しています。年齢別発症率は10歳以上から増加の傾向を示し、中学生の年代でさらに増加し、高校生の年代ではさらにまた増加します。年少児では胃潰瘍の比率が高く、年齢が進むにつれて十二指腸潰瘍が増加し慢性型が多くなります。
臨床症状としては、腹痛、嘔吐、吐血、下血などですが、低年齢では定型的でない場合が多く、また、腹痛を全く伴わず、全身倦怠感、悪心、食欲不振、顔色不良、貧血などを呈することもあります。