チック
随意的に動く筋肉が突然、不随意的、反復的に動くもので、顔面、首など上体に多く現れますが、身体のどの部位にも起こります。運動性チックと音声チックの二つに大別されます。器質的変化がなく心因と考えられるものを指しますが、アレルギー疾患(アレルギー性結膜炎の瞬目、アレルギー性鼻炎の鼻を動かすチック、気管支喘息の咳嗽や喉を鳴らすチック)に伴うものも相当数あり、寝違えや頸部のリンパ節種などが首のチックの誘因になるなど、身体への何らかの刺激が発症の誘因になることがあります。
男子に多く、幼稚園年長から学童にかけて多くみられます。症状は一か所のことも、数か所に同時に出現することもあります。また、経過中に次々と部位が変わり、移動することもあります。一般に緊張すると増強し、心理的に落ち着き何かに熱中すると消失することが多いのですが、逆に緊張すると消失し、心理的に落ち着くと出現することもあります(家庭では頻回にみられるが、診察中は消失する)。あらゆる場合に睡眠中は症状は消失します。
子供の性格傾向は、完全癖や強迫性があり、それに経験不足からくる社会性の未熟さが加わります。多くは家庭、学校などの環境からの過剰期待が誘因としてあります。この場合、「過敏な子どだから」と単純に、環境からのストレスを軽減させることを考え、子供を過保護にすると、子供の性格傾向はさらに強化されます。
薬物療法としては、漢方薬などがあります。
音声チック
咳払い、単純な音声(アッ、バッ、ハーッなどの奇声)、複雑な音声(アロン、エロンなど)、汚言(バカ、死ね、くそばばあ、卑猥な言葉など)などがみられます。特にかん高い奇声や汚言は、運動性チックよりも周囲の注目を集め、本人が、そのことを気にして登校を渋ったり外出をし難くなることがあります。
Tourette障害
多彩な運動性チックおよび一つまたはそれ以上の音声チックが12ヵ月以上持続しているもので、約半数が注意欠落/多動障害を併発してます。これは不注意、多動、衝動性を示し、二次的に対人関係の問題を引き起こし、チックを増強させている可能性があります。また学習能力障害のため、学習科目間のアンバランスをみることがあります。