思春期早発症
思春期早発症とは?
正常の年齢よりも早い時期に二次性徴が出現する場合を言います。 本症では身長発育の促進を伴っている場合が多く、周囲の子供(同級生)よりも背が高いことが多いのですが、 二次性徴の出現後は身長発育が低下し、最終的には低身長となります。
男児では、
①9歳未満で睾丸・陰茎・陰嚢などの明らかな発育が起こります。
②10歳未満で恥毛(陰毛)の発生をみます。
③11歳未満で腋毛・ひげの発生や声変わりをみます。
女児では、
①7歳6ヶ月未満で乳房発育をみます。
②8歳未満で恥毛(陰毛)発生、または小陰唇色素沈着などの外陰部早熟、あるいは腋毛の発生が起こります。
③10歳6ヶ月未満で初経をみます。
分類
①真性思春期早発症:
男児では男性の、女児では女性の二次性徴が出現します。 原因としては、分娩障害・水頭症・脳炎後遺症・髄膜炎後遺症・脳腫瘍ですが、女児の約80~90%、男児の約50%が原因不明(特発性)です。
②偽性思春期早発症:
男児に女性の、女児に男性の二次性徴が出現します。 原因としては、卵巣腫瘍・睾丸腫瘍・副腎腫瘍・先天性副腎過形成・奇形腫などです。
③部分的思春期早発症:
女児の乳房のみ、あるいは恥毛(陰毛)のみが早期に発育します。 原因としては、一部組織の性ホルモンに対する感受性亢進や一過性の性ホルモン分泌増加などが考えられます。
治療は?
部分的思春期早発症では症状の経過を定期的に注意深く観察する必要があります。 原疾患(腫瘍など)がある場合は、手術による切除や放射線療法が必要になる事もあります。 その他の原因では、最終的な身長を伸ばす為(最終身長の改善)や心理的社会問題(性的ないやがらせなど)の為などに対して性腺抑制療法を行います。最終身長改善に対しては3~4年間継続的に性腺抑制療法を行わないと効果は期待できません。
早発乳房
女児において、前思春期年齢に、片側ないし両側の乳房発育のみが出現することがあります。10万人に約20人の頻度と報告されています。乳房腫大は、数ヵ月~2年以内の経過で消退することが多いのですが、時に数年間にわたって持続し、正常の思春期年齢まで達することがあります。通常、乳頭や乳輪の発育を伴わず、子宮成熟を認めることは希で、成長加速もみられません。その後の思春期発来や生殖能力が正常に保たれることから、数ヵ月毎の経過観察を行います。
早発陰毛・早発腋毛
前思春期年齢の小児において、他の二次性徴を欠いた状態で陰毛・腋毛の発育が起こることがあります。6歳未満で出現することは比較的希です。発生頻度には明らかな男女差があり、女児において男児の約10倍です。通常、陰毛の発育はゆっくりで、他の思春期兆候の発現や最終身長に影響を及ぼさないことから、数カ月毎に経過観察を行います。
早発月経
前思春期年齢の女児において、他の二次性徴を欠いた状態で周期的な性器出血が起こることがあります。性器出血は、数年間持続した後におさまり、その後、正常な思春期年齢に二次性徴が起こり、月経が発来します。将来の生殖能も保たれることから、思春期発達のバリエーションと考えられています。