男性女性化乳房
男性の乳腺組織が女性のように良性の増殖を示す病態です。肥満による単純な脂肪性乳房肥大とは異なります。
思春期女性化乳房
思春期の初期から中期にかけて、最大65%の男児に乳房の乳輪下過形成が様々な程度で発症します。Tanner性成熟度分類でⅢ~Ⅳ度および精巣容量5~10mlでピークとなります。通常は、片側の乳房のみに生じますが、両乳房が異なる速度または時期に肥大することもあります。多くは乳房の圧痛を伴いますが、一時的なものです。思春期の初期から始まり通常は2年以内でテストストロン濃度が成人レベルに達する前に自然消失します。
原因として、①思春期において、エストロゲンがテストステロンよりも早く成人レベルに達する、②思春期初期では夜間のテストステロン分泌は亢進するが昼間は高くなく、一方エストロゲンは一日中同じレベルであることから、A/E比が上昇する、ことが考えられます。
病的原因による女性化乳房
精巣や副腎からのエストロゲン分泌亢進、精巣におけるテストステロンの産生低下、アンドロゲン受容体の結合異常、アンドロゲンのエストロゲンへの変換亢進、外因性エストロゲン(薬剤投与)などが考えられます。悪性腫瘍としては、肝癌、精巣腫瘍などです。
乳房がびまん性あるいは結節性に肥大し、乳輪下に腫瘤や硬結として蝕知されます。片側性のこともありますが、多くは両側性です。