成長ホルモン補充療法
の適応基準
成長ホルモン分泌不全性低身長症(器質的原因を除く)における治療開始・終了の基準には「保険制度による適応基準」と「小児慢性特定疾患治療研究事業による適応基準」の二つが存在します。
「保険制度による適応基準」とは、風邪と同様に健康保険で治療し、住所地の自治体の医療費助成制度(こども医療券など)を利用し、自己負担なしで治療する基準です。一方、「小児慢性特定疾患治療研究事業による適応基準」とは、風邪と同様に健康保険で治療し、国の政策である「小児慢性特定疾患治療研究事業の医療費助成制度」により、住所地の自治体の医療費助成制度(こども医療券など)を利用しないで、自己負担なしで治療する基準です。
住所地の自治体の医療費助成制度(こども医療券など)の対象年齢が高校3年生までの場合は、保険制度で治療した方が、早期に治療でき、最後まで治療できます。
保険制度による治療開始基準:
①身長が-2.0SD以下または年間成長速度が2年以上-1.5SD以下。
②複数の成長ホルモン分泌刺激試験のうち、2種類以上の成長ホルモン分泌刺激試験でGHピーク値が6.0ng/ml以下。
小児慢性特定疾患治療研究事業による治療開始基準:
①身長が-2.5SD以下。
②複数の成長ホルモン分泌刺激試験のうち、2種類以上の成長ホルモン分泌刺激試験でGHピーク値が6.0ng/ml以下。
③血中ソマトメジンC(IGF-1)値が200mg/ml未満(5歳未満では150mg/ml未満)。
保険制度による治療終了基準:
①治療1年目の年間成長速度が6.0cm/年未満または治療前1年間との差が2.0cm未満。
②治療2年目以降で年間成長速度が2.0cm/年未満。
③治療4年目で年間成長速度が1.8cm/年未満。
④治療5年目で年間成長速度が1.4cm/年未満。
⑤治療6年目で年間成長速度が1.2cm/年未満。
⑥治療7年目以降で年間成長速度が1.0cm/年未満
男児で骨年齢が17歳以上、女児で骨年齢が15歳以上。
小児慢性特定疾患治療研究事業による治療終了基準:
①治療1年目の年間成長速度が6.0cm/年未満または治療前1年間との差が2.0cm未満。
②治療2年目以降で年間成長速度が3.0cm/年未満。
③男児で身長が156.4cm以上、女児で身長が145.4cm以上。