低身長・二次性徴・性ホルモン・思春期内科 // みらいクリニック(スマホ版)

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み ら い ク リ ニ ッ ク
小児科を中心とした地域医療と
思春期医療のクリニックです
(一般内科外来もあります)

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(水曜日は、午後休診です)

思春期初期


 Tanner性成熟度分類のⅡ度の時期です。

生物学的発達

 女児の思春期開始は、乳房発達から始まります。乳房発達開始年齢は、近年著しく早くなってきています。恥毛発育・初経の開始年齢はわずかに経年的な若年化傾向があるようです。乳房発達の開始年齢が大幅に低下している理由として、エストロゲン様環境物質への暴露が考えられます。
 男児の思春期開始年齢に経年的な低下傾向があるかどうかは、女児ほど明らかではありません。40年以上の間に性器発育や恥毛発生が起こる平均年齢が1年低下しています。
 思春期が始まると、身体的生理的変化が連続して起こり、性成熟度が進行していきます。性成熟段階の進行度の正常範囲は広く、個人差があります。
 女児の場合、8~12歳の間に外見的に認識できる最初の思春期兆候の変化として、乳房発育(性成熟度Ⅱ度)がみられます。月経は標準的に乳房発育開始の2~2年半後、性成熟度Ⅲ~Ⅳ度に始まります。月経ほどわかりやすい変化ではありませんが、卵巣・子宮・陰唇・陰核の発育、子宮内膜・膣粘膜の肥厚が起こります。
 男児の場合、最初の思春期兆候の変化は精巣発育(性成熟度Ⅱ度)で、早くても9歳半頃から始まります。これに続いて陰茎が発育します(性成熟度Ⅲ度)。性成熟度Ⅳ度に精巣容量が9~10mlに達した時点で成長はピークとなります。脳下垂体からの黄体ホルモンと精巣からのテストステロンの影響で、精細管・精巣上体・精嚢・前立腺が発達します。通常、左精巣の発育は右精巣より遅れています。また、男児の40~65%において性成熟度Ⅱ~Ⅲ度に、ある程度の乳房肥大が起こります。
 男女とも性成熟度Ⅲ~Ⅳ度になるまで成長速度のピークには達しません。男児の成長ピークは女児よりも2~3年遅く、女児の成長が止まった後も約2~3年間は成長し続けます。
 急速な身体発育は、手足の拡大として遠位から始まり、その後は腕と脚、最後に体幹と胸部に認められます。こうした非対称的な発育により、若年の青少年はぎこちない様相となります。喉頭、咽頭、肺が急速に成長する為に声の質が変化し、典型的には音声不安定(しわがれた声)が最初に起こります。眼球が成長して長くなると、近視になることが多いです。歯牙の変化として、顎の発達、最後の乳歯の脱落、犬歯、小臼歯、大臼歯の順に永久歯の萌出がみられます。成長による交合障害の増悪の為、歯列矯正装置が必要となる場合もあります。

認知発達と道徳発達

 思春期は具体的操作的思考から整然とした論理的思考や推論および判断の、重要かつ独特な移行時期と考えられてきました。これらの発達速度には大きな個人差があります。
 思春期初期は、学校の勉強に形式的論理的思考を適応することができても、個人的なジレンマには適応できないことがあります。情緒が強く関与している場合は、強固な操作性・呪術的思考に後退する可能性もあります。これが高等な認知を妨げ、現時点の意思決定が長期的な結果をもたらすことを認識する能力を最終的に損なう可能性があります。道徳的思考の発達は、全体的な認知発達と概ね平行して進みます。年少期は成人との関係を罰に対するおそれと権力という観点でとらえますが、思春期初期では、善悪を絶対的かつ疑いの余地のないものとして認識します。

自己概念

 思春期初期では、外面的な特徴に重点を置く傾向があり、身体の変化に気をとられ、自分の外見を細かに調べ、他人からじろじろ見られていると感じることが普通です。テレビやインターネット普及に伴い、メディアにより間違った概念を植え付けられることがあります。

家族・仲間・社会との関係

 思春期初期には、親と一緒の活動に興味をなくし、仲間、典型的には同性の仲間との活動に関心が高まります。安全、身なり、エチケット、全体的な態度に関する親の忠告を無視し、全く異なる価値観、嗜好性に興味を示すことがよくあります。表面的な違いが支配力をめぐる対立、あるいは分離を受け入れにくいための葛藤を誘発することがあります。
 家族からの分離嗜好は、家族以外の大人を理想像に選んだり、特定の教師や他人の親と親密な関係を築いたりする行動をしばしば伴います。
 思春期初期には同性の仲間集団の中で交流することが多くなり、仲間との関係を深めることは、段階的な個性化と、家族からの独立に重要なな役割を果たします。性的な関心が高まる結果として、個人的な不安感に対処し、社会的承認を求める手段として、不適切であるものの異性に対するからかい、同性愛を嫌悪する言動や性に関する噂話などが用いられます。1対1の交友に関しては、男子と女子では重要な違いがあります。女性同士の付き合いには親密性に重点が置かれますが、男性同士の関係は活動に重点が置かれます。
 思春期初期における社会との関係は学校を中心としたものです。中学校へ進学すると、授業体系が変わり、教室間を移動することで新たな刺激や責任が生じます。この授業体系の変化は、家族からの分離に伴う変化を反映し、これを強化しています。

セクシャリティ

 性交や性器に対する不安や興味が、思春期初期にかけて増大します。若年の青少年が自分を他人と比較することは普通のことです。男子では、初めて射精が起こり、射精は通常、自慰や、後には夢精として生じ、不安を生むことがあります。他の男子と一緒に自慰を行うことがありますが、散発的に行うことは必ずしも同性愛の兆候ではありません。

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