低身長・二次性徴・性ホルモン・思春期内科 // みらいクリニック(スマホ版)

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み ら い ク リ ニ ッ ク
小児科を中心とした地域医療と
思春期医療のクリニックです
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性分化と4つの性

4つの性

 ヒトの性は、通常4つ存在します。
①遺伝的性であり、受精時の性染色体構成の違い(Y染色体の有無)で決定します。Y染色体が存在すれば男性へ、存在しなければ女性へと分化します。
②性腺の性であり、遺伝的性に従って、男性では精巣、女性では卵巣が形成されます。
③外性器の性であり、胎児精巣由来のホルモン(特に男性ホルモン)の作用があれば男性型へ、作用がなければ女性型へ分化します。
④脳の性であり、外性器同様、男性ホルモンの作用があれば男性型へ、作用がなければ女性型へ分化します。
 これらの臓器・組織は、脳も含め明瞭な男女差を有し、この構造の性差が、性的機能の性差と密接な関連しています。
 社会的性の決定は、従来、外性器の形態が重要視されていましたが、最近は、脳の性分化(性自認)、いわゆる性同一性(gender identity)が最も重要な因子であると理解されてきています。
 内外性器の発達や妊孕性の有無は、社会的性の決定において考慮すべきですが、自身の性自認(性同一性)と異なる性や違和感のある性のもとでは、身体的性発達や妊孕性が存在しても、その性的機能を十分に発揮することを期待できません。ヒトは、身体的性の特性よりも脳の性分化状態に応じた性のもとで、より安定して存在すると考えられます。

性腺の性分化

 性腺は、まず精巣・卵巣いずれにも分化できる未分化性腺として出現し、その後、遺伝的性(Y染色体)に従って、胎児精巣はホルモン産生機能を有し、胎児卵巣は減数分裂細胞(卵母細胞)を有します。また、組織的にはY染色体で誘導される胎児精巣の形成が早く起こります。
 胎児精巣は、精子形成能を欠きますが、ホルモン産生能をもつSertoli細胞やLeydig細胞を有し、精巣下降、性管・外性器・脳の性分化は、胎児精巣の有無に集約されます(胎児卵巣の有無は関与しない)。
 胎児卵巣は、体細胞成分を欠く為にホルモン産生能をもちませんが、減数分裂進行を反映する卵母細胞(および原始卵胞)を有します。この卵母細胞は、思春期における卵胞発育およびそれに伴う卵巣体細胞分化に必須です。
 性腺は、思春期にさらに分化し、性ホルモン分泌と配偶子形成の両者を有する成人精子と成人卵子になります。この過程では、性腺からの成長因子と下垂体からのゴナドトロピン(卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン)が重要な役割を果たしています。
 性腺形成以降の性分化は、精巣由来ホルモン効果の有無に集約されます。テストステロンは、性分化臨界期(在胎10~16週)において胎盤ゴナドトロピンの刺激で精巣から大量に産生されます。このテストステロンおよび外性器組織でテストステロンから変換されたジヒドロテストステロンは、男性型外性器の形態形成に必須です。したがって、この時期に男性ホルモン効果の低下・消失は、外性器の形態異常(尿道下裂・曖昧外性器・女性型外性器など)を伴います。性分化臨界以降の胎児期においては、下垂体ゴナドトロピンの刺激により少量の男性ホルモンが産生され、外性器(陰茎など)の成長に重要な役割を果たしています。
 Leydig細胞から分泌されるInsulin-like 3もテストステロンと同様の分泌パターンを示しています。Sertoli細胞から分泌される抗Muller管ホルモンは、男児においてのみ高値を示します。
 性腺は、腹腔内で発生し、男性では陰嚢に下降し、女性では腹腔内にとどまります。この精巣下降は、腹腔内移動と鼠径部移動に大別されます。腹腔内移動は、性分化臨界期において大量に産生されたテストステロンによる頭側懸垂靱帯の消退と、大量のInsulin-like 3による精巣導帯の発達により起こります。鼠径部移動は、主に少量の持続する下垂体からの黄体形成ホルモンの刺激によるテストステロンの効果によるものです。
 Insulin-like 3の作用低下による停留睾丸では、精巣固定術で妊孕性が回復しますが、テストステロンの作用低下(大部分は部分的ゴナドトロピン分泌低下)による停留睾丸では、精巣固定術を行っても通常妊孕性は回復し難いようです。

性管の性分化

 この性管の分化・形成は、男性・女性ともに、まずMuller管とWolff管が出現し、その後に性腺の性に合致する性管のみが発達し、他方が消失するという特殊な分化・形成過程をとります。
 Wolff管は、テストステロンが存在する時に精巣上体・輸精管・精嚢に分化し、存在しない時に退縮します。Muller管は、抗Muller管ホルモンが存在する時に退縮し、存在しない時に子宮・卵管・膣上部に分化します。

外性器の性分化

 外性器は、テストステロンから変換されたジヒドロテストステロンが存在する時に陰茎・陰嚢に分化し、存在しない時に陰核・陰唇に分化します。したがって、性分化臨界期における男性ホルモン作用を阻害する病態では、女性型外性器から尿道下裂まで様々な外性器の形態異常を伴いますが、その後の男性ホルモン作用を阻害する病態では、形態異常を伴わないミクロペニスや停留睾丸を生じます。

脳の性分化

 脳も、テストステロン、ジヒドロテストステロンが存在する時に男性型に、存在しない時に女性型に分化します。これは、齧歯類における脳の男性化が、エストロゲン産生に依存することと大きく異なります。

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性腺の性分化

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腹腔内移動と鼠径部移動

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性管と外性器の性分化

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