夜間遺尿症(夜尿症)
夜間遺尿症(夜尿症)とは?
夜間睡眠中に無意識のうちに排尿する事をいいます。 一般に3歳を過ぎても未だ排尿の自立が完成していない場合を夜尿症と呼ぶ事が多いのですが、6歳未満では、泌尿器系の発達が未だ自立まで到達していないと考えられる小児が大部分であり、必ずしもこの年齢の「おねしょ」は病的とはいえません。 膀胱の発達段階をみると、膀胱充満が認知できるのが1~2歳、排尿を随意的に行う事ができるのが3歳、排尿の途中で中断できるのが4~5歳、そしていつでも排尿しようと思えばできるのが5歳以上です。したがって、問題となるのは6歳以降です。
原因は?
原因としては、①下垂体機能を中心とした神経、内分泌系統の発達障害すなわち尿産生リズムの障害、②神経因性膀胱や自律神経系の障害にみられる機能的膀胱容量の縮小、③ストレスなどによる心身症メカニズム、④睡眠リズムの障害などのように中枢側や膀胱側の多くの要因が複雑に関与していると考えられます。
生活指導は?
①基本は、「起こすな、怒るな、気にするな」です。夜尿は自然治癒する事を認識して下さい。
②水分コントロールでは、1回に飲む水分を150~200ml以内にとどめたり、夕方(午後6時~7時以降)からの水分制限を行う事などが必要です。必ず、就寝前に排尿させて下さい。
③過剰な塩分の摂取は尿量の増加をきたし、その結果として多量飲水を招きます。その為食事や間食に含まれる塩分にも注意が必要です。
④午後4時以降に砂糖あるいはカフェインを過剰に摂取する事を控えましょう。
⑤冷え症対策として、就寝前にゆっくり入浴させたり、寝具をあらかじめ保温しておくとよいでしょう。
⑥尿意を感じた際に直ぐに排尿させず、できるだけ我慢させるといった膀胱トレーニングが効果的な事があります。
薬物療法は?
基本は生活指導ですが、なかなか治らない場合や原因がある場合には、抗利尿ホルモン剤(デスモプレシン酢酸塩)、抗コリン薬、自律神経調節剤(三環系抗うつ剤)が効果的です。