インフルエンザ
インフルエンザとは?
インフルエンザウィルスにはA型、B型、C型の3つのタイプがあります。その年により流行は異なりますが、主にA香港型、Aソ連型、B型のどれかが流行します。
症状はどの型もほとんど同じです。感染力は極めて強く、冬になるとほぼ毎年のように流行を繰り返し、しばしば爆発的な流行となり、家族全員が次々と罹患することが多く、ふだん風邪をひかない大人でも高熱が出ます。
インフルエンザの管理においては、十分な水分摂取と休息が重要な要素です。インフルエンザは自然治癒傾向のある疾患ですが、時には重大な合併症を起こすことがあるので注意が必要です。
症状(臨床像)は?
①潜伏期:1~2日
②発病:非常に急激に上昇する高熱で始まります。
③全身症状:発熱(38.5℃以上)、全身倦怠感、頭痛、腰痛、関節痛
④呼吸器症状:鼻汁、咽頭痛、強い咳嗽(咳き込む事もある)
⑤消化器症状:嘔吐、腹痛、下痢
⑥特徴的な発熱(二峰性):第1回目の発熱(39℃前後)が2~3日続き、一旦解熱し再度発熱します。第2回目の発熱は、一般に第1回目の発熱より軽いことが普通ですが、時に熱が5~7日続くこともあります。
⑦異常行動:発熱後2日間に異常行動・異常言動を認めることがあります。
年齢による症状(臨床像)の特徴
①乳児(6ヵ月未満):一般に最高発熱は低く、合併症も少ない。病期も短く軽症であることが多いが、年少児であるので細心の注意が必要です。
②幼児:発病は急です。発熱は各年齢層で最も顕著で、二峰性の発熱を示すことが多い。中耳炎、気管支炎、肺炎、鼻出血、下痢、嘔吐、脳炎、Reye症候群等の合併症が多い。
③年長児・学童・成人:発病は急で、発熱の程度は幼児ほどではありません。しかし全身倦怠感、関節痛、腰痛、筋痛等は著明です。
④インフルエンザB型では、希に急性筋炎を起こし、これは急性呼吸器疾患の5~7日後までに出現し、特に腓腹筋のおける筋力低下と疼痛、ミオグロビン尿症を特徴とします。
家庭看護
無理に寝ることはありませんが、家でのんびりしてることが一番です。厚着をさせたり、コタツにもぐり込ませたりする必要はありませんが、寒くない程度の暖房、暑すぎない程度の調節をしましょう。加湿も必要です。食欲はなくて当り前です。子供の好きなもので消化のよいものを与えます。水分は十分に与えて下さい。
次の診察は?
指示した日、薬のなくなる日などに(大体2~3日おきに)受診して、余病を起こしてないか診てもらいましょう。 「薬だけ下さい」と言うのは重い病気を見逃すもとですから、止めましょう。元気がなくなった、何度も吐く、咳で夜眠れない、などいつもと違うぞと思ったら、早めに受診して下さい。
うがいの効果は?
一般にうがいは効果があると言われていますが、インフルエンザウィルスは、のどに付着してから20分程度で細胞内に取り込まれるため、その効果はきわめて限られます。
ワクチンを接種しても、風邪をひくのはなぜ?
本来、風邪とインフルエンザはウィルスが異なります。風邪を引き起こす病原体は他にもたくさんあります(約200種類)。それらによって、風邪を引いている可能性があります。
ワクチンは毎年接種が必要か?
ワクチンは、インフルエンザの発症を予防するために免疫を獲得させます。インフルエンザウィルスが体内に入ってきても、獲得した免疫で退治します。インフルエンザウィルスは毎年変異しますので、毎年接種が必要です。
インフルエンザで使用禁忌の解熱剤は?
平成10年12月、サルチル酸系医薬品について、15歳未満の水痘、インフルエンザの患者に投与しないことを原則とする。
【薬品名】小児用バファリン、バファリン、EA錠、アスピリン、サチボンなど
平成12年11月に厚生省よりジクロフェナクナトリウム含有の解熱剤とインフルエンザ脳炎・脳症の重症化との因果関係は明確には認められておりませんが、ジクロフェナクナトリウム使用群については有意に死亡率が高いこと等を含め、インフルエンザ脳炎・脳症において、ジクロフェナクナトリウムの投与を禁忌する旨、通知がありました。
【薬品名】ボルタレン、アデフロニック、サフラック、アナバンなど
平成13年5月、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会における日本小児科学会、研究者等の意見をふまえ、メフェナム酸を「小児のインフルエンザにともなう発熱に対して基本的に投与しない」旨が合意された。
【薬品名】ポンタール、スパンタックなど
インフルエンザの検査
インフルエンザに罹っているかどうかを調べる方法には、色々ありますが、確定診断は血液検査が一般的です。
外来にて補助的診断として、咽頭粘膜・鼻腔粘膜を綿棒で強く擦り検査する方法(発熱38℃以上が6~8時間以上経過してから検査)がありますが、インフルエンザウィルスに感染していなくても陽性と判定されたり、感染していても陰性と判定されることがあります。
確定診断には臨床症状(高熱など)やその他の検査結果(白血球減少など)を考慮することが必要です。
抗インフルエンザウィルス剤(内服薬)タミフルについて
A型およびB型インフルエンザウィルス感染症に有効であり、インフルエンザウィルスの増殖を抑制します。発症後48時間以内に内服する必要があります。体重が約37kg以上の場合は、1日2回、1回1カプセルを5日間を限度に内服します。体重が約37kg以下の場合は、1日2回、ドライシロップを5日間を限度に内服します。
平成19年3月21日、厚生労働省より「未成年者のタミフル服用後の異常行動等による死亡が認められたことにより、因果関係は不明であるが、10歳以上の未成年者については合併症や既往歴によるハイリスク患者以外は原則、タミフルの使用を控える」よう緊急安全性情報が出されました。
タミフルドライシロップ添付文書
タミフルカプセル75添付文書
抗インフルエンザウィルス剤(吸入剤)イナビルについて
A型およびB型インフルエンザウィルス感染症に有効であり、インフルエンザウィルスの増殖を抑制します。本剤は純国産の長時間作用型のノイラミニダーゼ阻害剤で、本剤による治療は1回で完結します。また、タミフル(オセルタミビル)の5日間投与と同等の効果を示します。 10歳未満は1容器(セット)、10歳以上は2容器(セット)で1回分です。
イナビル添付文書
イナビル使用説明書
保護者の皆様へ