熱性けいれん
熱性けいれんとは?
通常38℃以上の発熱に伴って乳幼児期に生じる発作性疾患で、明らかな原因のないものをいいます。好発年齢は生後6ヵ月~3歳で、男児に多くみられます。けいれんの持続時間はほとんどが5分以内です。熱性けいれん児の50%が2回以上発作を起こします。大多数の熱性けいれん児が4~5歳で発作を起こさなくなります。発熱の原因は気道感染症、扁桃炎、中耳炎が大部分です。
症状は?
①発熱:約半数が38.5℃以上です。体温が急激に上昇する時にけいれんを起こします。
②持続時間:約90%が15分以内で、ほとんどは5分以内です。
③意識障害:発作中はもちろん、発作後も意識障害が続きます。
④片麻痺:ほとんどが一過性で1週間以内に治癒します。
緊急時の応急処置は?
①慌てない、落ち着く事。
②衣服をゆるくし、特に首周りをゆるくする。
③頭部を躯幹よりやや低くし、仰臥位にして顔を横に向け、頭部をそり気味にする。吐物、分泌物が口の周り、鼻孔にたまっていたら、ガーゼで拭き取る。歯をくいしばっている時でも、口の中に物を入れない。
④体温を測定し、発作の長さ(持続時間)と性状(左右差・眼球偏位など)を観察する。
⑤口から薬、飲み物を与えない。
⑥発作が治まるまで必ずそばにいる事。
緊急を要する場合は?
①発作が10分以上続く。
②短い間隔で繰り返し発作が起こり、この間意識障害が続く。
③身体の一部分のみが強くけいれんを起こす場。
④初回発作、特に1歳未満。
⑤発熱、発作以外に他の神経症状を伴う。
てんかんの発症は?
熱性けいれん児のてんかん発症は、5~7歳までに2~3%、10歳までに4.5%、25歳までに7%です。
要注意因子は、持続時間が長い(15~20分以上)、頻回に繰り返す、てんかんの家族歴がある、発作前に明らかな神経学的異常・発達遅滞がある等です。