インフルエンザ菌感染症
インフルエンザ菌感染とは?
インフルエンザ菌b型は乳幼児の無菌性髄膜炎の原因菌の中で最も頻度の高いものです。さらに幼児期に発症し生命の危険を伴う急性喉頭蓋炎の原因菌はほとんどがいんふるえんざ菌b型であることが分かっています。
非莢膜株と莢膜株とで大きく異なる病原性を持ちます。
非莢膜株は健康なヒト、特に乳幼児の上気道(咽頭、鼻腔)にも常在しています。感染症としては中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、肺炎などの気道感染症が多い。
莢膜株も上気道に保菌されていることがありますが、気道感染症を起こすことは少なく、直接血流中に侵入して感染症を起こすものと考えられています。 莢膜株の感染症ではほとんどの場合b型が起炎菌で、敗血症、髄膜炎、結膜炎、急性喉頭蓋炎、関節炎などを起こします。
発症した場合は、有効な注射用抗菌剤の投与が必要です。最近では薬剤耐性菌の出現が問題となっています。
アクトヒブとは?
インフルエンザ菌b型による感染症を予防するワクチンです。 初回に4週間間隔で計3回接種した結果、3回目接種4週間後に長期感染予防に必要な抗体をもっている人は92.4%、1年後は61.2%でした。 1年後に追加接種(1回)をした場合、追加接種4週間後に長期感染予防に必要な抗体をもっている人は100%でした。
アクトヒブの接種方法は?
①標準として生後2ヶ月以上7ヶ月未満で接種を開始します。 初回免疫は通常3回、4~8週間の間隔で皮下注射します。追加免疫は初回免疫終了1年後に1回皮下注射します。
②生後7ヶ月以上12ヶ月未満で接種を開始した場合、初回免疫は通常2回、4~8週間の間隔で皮下注射します。 追加免疫は、初回免疫終了1年後に1回皮下注射します。
③1歳以上5歳未満で接種を開始した場合は、通常1回皮下注射します。
④三種混合ワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンと同時に接種することが可能です。
インフルエンザ菌b型(Hib)は環境中に普通に存在する細菌で、出生後の生活日数が進んでくると、多少の基礎免疫ができてきます。この為生後7ヶ月以上でワクチン接種を開始する場合、 接種回数を減らすことが可能となります。5歳以降になると多くの場合、感染予防に十分な免疫が確立できるようになるのでワクチン接種の必要性が少なくなります。
アクトヒブの重要な基本的注意は?
本剤は、フランス産ウシの肝臓および肺由来成分、ヨーロッパ産ウシの乳由来成分を使用しています。 また、培養工程で米国産ウシの血液および心臓由来成分を用いて製造されています。これらの米国産ウシ由来成分は米国農務省により健康であることが確認されたウシに由来し、 欧州医薬品審査庁のガイドラインを遵守して製造されています。理論的なリスク評価により、本剤は一定の安全性を確保する目安に達していることを確認しています。 諸外国において本剤の接種によりTSE(伝染性海綿状脳症)がヒトに伝播したとする報告はありません。
以上のことから、本剤によるTSE伝播のリスクは極めて低いものと考えられます。